第1回:マドリッド風煮こみ
第1回:マドリッド風煮こみ
第2回:ポークビーンズ
第3回:ロールステーキきのこ風味
妻:「ちょっと、そんなむさくるしい映画なんか観てる暇あったら風呂でも洗ってよ」
あなた:「邪魔しないでくれよ、これは『夕陽のギャングたち』っていう映画で、マカロニウエスタンでも屈指の名作なんだぞ。ショップを何軒もまわって、やっと手に入れたんだから」
妻:「マカロニだかペパロニだかしらないけど、岩場ばっかりのところで、汚い格好した連中がうろうろしたり、たまに銃撃ったりしてるだけじゃないの。うるさいったらありゃしない」
あなた:「いいだろ、たまの休みなんだから」
妻「たまの休みなんだから、家事くらい手・伝・っ・て・よ・!」

あなた(しぶしぶDVDの停止ボタンを押して、風呂場へと向かう)


いや〜、日本の平均的な家庭の3軒に2軒はみられる、心温まる日常の光景ですね。特に、マカロニウエスタン・ファンは家族から白い目で見られがち。

しかし、そんな虐げられた生活も、今日からオサラバです!

本コーナーではマカロニウエスタンに登場する料理紹介してゆきます。お休みの日に、あなたが手ずから作りましょう!! 奥様には笑顔(食事を作らなくていいから)、子供たちには尊敬のまなざしが浮かぶこと間違いありません。マカロニ料理を家族で囲み、あなた得意のマカロニ薀蓄を語れば、
家族が揃ってマカロニ・ファンになることも夢ではありません。 

さて、記念すべき第1回は、
「夕陽のギャングたち完全版」発売記念といたしまして『マドリッド風煮こみ』を紹介します。
 
本編冒頭の馬車のシーンをよく観ると、鼻持ちならないきどったアメリカ人どもが食べているのが、どうもこの料理のようです。
いや、恐らくそうでしょう。断定しちゃいます(そうしないと、レシピが紹介できないから…)。DVDを購入された方は、右の写真の丸で囲んだ人物をよ〜く観察してみましょう。
テーブルの上に乗った皿にご注目ください。たぶん、いや絶対、
この皿の中身は『マドリッド風煮こみ』です。
では実際に作ってみましょう。まずは材料をそろえます。材料は4人前ですが、翌朝のサイド・ディッシュにも使える程度の量になります。まずは野菜関連の材料です。
にんじん 1本
たまねぎ 1個
じゃがいも 1個
キャベツ 1/2玉
かぶ 2個
ねぎ 1/2本
ブーケガルニ セロリのくず葉やにんにくを糸でしばったもの。
 
 次はたんぱく質関連の材料。さすがスペイン料理、肉という肉類は、ひととおりブチ込みます。う〜ん、
子供の頃に牛肉をめったに食べさせてもらえなかった私には、とってもぜいたくに見えます。
鶏の胸肉 1枚(300グラム程度)
豚のバラ肉 400グラム
ソーセージ 8本
牛の細切れ 200グラム
ゆで大豆 200グラムほど(水煮缶を使ってください)

 
 さて、材料が揃ったら、さっそく調理に入りましょう。
肉は一口大に切り、ソーセージとともに鍋の中にほうりこみます。ゆで大豆はまだ入れないでください。
肉が隠れるほどの水を入れて、中火にかけます。アクが出てくるので、おたまですくいながら、やわらかくなるまで1〜2時間ほど煮込みます。

余談ですが、写真のなべは私が生まれる前から実家で使われていたものです。37年前のなべなのですが、ちょうどその頃、日本でもマカロニウエスタンがブーム。
マカロニとともに歴史を歩んできた鍋です。
 
肉を煮込んでいる間に、野菜の下ごしらえにとりかかりましょう。料理は、下ごしらえ8割、調理2割といわれております。ここを丁寧にやっておくことが、美味しい料理のポイントです。

かぶ、じゃがいも、たまねぎは皮をむいて四つ切にしましょう。
にんじんは皮をむいて、乱切りに。
キャベツはざくざくと幅広に切り分けます。
ネギも4〜5センチくらいに切ります。

左の写真のようにプレートにならべてみると、なかなか美しいじゃないですか。ここで子供たちを呼びましょう。『これ、お父さんがやったの?』と感心されます。奥様は呼ばないように。『フン、下手ね』と鼻で笑われます。
 
肉が十分やわらかくなったところで、野菜とブーケガルニを投入しましょう。
但し、キャベツとゆで大豆はまだ入れてはいけません。先に根菜類に火を通し、その後で葉野菜のように火が通りやすいもの、ゆで大豆のように火が既に通っているものを入れませんと、煮こみ具合がばらばらになってしまいます。
火を中火の弱火にして、コトコトと野菜がやわらかくなるまでさらに煮込みましょう。


このあたりから、子供たちが興味津々であなたの側に集まってくるはずです。寄ってこなければ、あなたの子供の育て方が間違っていますので、人生のほろ苦さでも心の中で噛み締めてください。
 
野菜が十分やわらかくなったところで、ゆで大豆とキャベツを投入。そしてさらに30分ほど煮こみます。

最後に、塩とこしょうで味を整えます。このとき、あまり塩辛くすると、奥様に
『また血圧があがるでしょッ』と怒られますし、かといって塩をひかえすぎると、子供たちに『まっず〜い!』と嫌な顔をされますので、細心の注意が必要です。
ブーケガルニはお役御免です。捨ててください。
器に盛れば完成です!

美味しくできていれば、家族の羨望と尊敬を一気に集めることができるハズ。

楽しい食事の後は、家族みんなで『夕陽のギャングたち完全版』を鑑賞しましょう。『ここ、これがさっき食べた料理だよ』と指摘すれば、さらに感心されるでしょう。映画を観終わったあとは、家族全員がマカロニウエスタンのファンになっているかもしれません。

※注意! 『夕陽のギャングたち』を観ながら、食事するのは決してやめてください!! なにせオープニングが立ち○ョンですから。ションションション〜。
 
【お・ま・け】

私が図書館から借りてきた料理本と格闘しながら、この『マドリッド風にこみ』を作っている最中に、妻が作った『エビとレンコンのバルサミコ・ソテー』です。 『マドリッド風煮こみ』と一緒に、当日の食卓に乗りました。
こちらはお酒のつまみにぴったりです。


でも作り方は忘れたので、興味のある方は写真をもとにご自分で調理法を推測してください。
 
次回の料理のヒントは…


ジョン:『チリソースは入れるか?』 おたのしみに!

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