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このコーナーでは、「特捜班CI☆5 傑作選DVD−BOX」が商品化されるにいたる“いばらの道”を、すべてのDVDファンの下僕・フィールドワークス(企画・制作を担当)のシリンゴが紹介させていただきます。
ところで、なぜ“いばらの道”なのか? もし「CI☆5」が、何の障害もなくスンナリ発売される多くの作品と同じなら、とっくにDVDになっているはずです。しかし、今の今まで、DVD化されていません。商品化の前にたちはだかる壁があまりに強大で、実現が非常に難しいのです。その障害をざっと挙げただけでも、次のようなものがありました。
1.ビデオ化権を持っている会社が判らない。
2.オリジナルのネガが紛失し、プリントしか残っていない。
3.16ミリフィルムで撮影されていたため、プリントの経年劣化が35ミリより激しい。
4.テレビシリーズの多巻ものであり、かつ吹替収録が必須(=制作・製造費が莫大となる)。
5.日本での放送は、地方局中心であったため、知名度が低い(=売れない可能性が高い)
6.地上派で未放映のエピソードが存在し、そのエピソードのために新規吹替を作る必要がある(=制作費用がさらにかかる)
これほど悪条件が重なっては、『売れるかどうかも分らないし、敢えてリスクを犯してまで発売することもないな…』と思うのが自然でしょう。
ところが、こんな“大障害レース”に名乗りをあげたのが、今回の発売元、DVD業界の異端児・スティングレイ。同社は、ここに挙げた1〜6までのすべてを、過去発売した商品でクリアしたことのある強者です(ある意味、無謀でもありましたが…)。今回の「特捜班CI☆5」に関しても、ハードルをクリアする自信がありました。
しかし、スティングレイが決断する前に、もう一つの別の、プロジェクトを推進させる大きな動きがあったのです。
それは、企業ではなく、ある「CI☆5」の熱烈な個人ファンの登場でした。残念ながら、本人の意向で実名を明かすことはできません。かつて出版社に勤務し、数年前までDVDメーカーで商品制作を担当(そのメーカーはもう存在していません…)、現在は地方のテレビ局で働いている、とだけ言っておきます。
実は彼(男です)は、私シリンゴの高校時代の友人です。たまたま1年ほど前に会いまして、「今何やってんの?」というお決まりの会話から「CI☆5」の話題に移っていったわけです。ちょうどその頃、先に挙げた数々の障害から「CI☆5」のDVD化企画の実現がうまくゆかず、私は腐っておりました。そのグチを彼にこぼしたところ、彼が急にエキサイトしはじめました。彼は、私なんかよりも、もっとマニアックな「CI☆5」の大ファンだったのです。あげくに「じゃあ、ちょっと考えがあるから、一番可能性があるメーカーの担当者に、自分を紹介してくれ」とのたまいました。
呼び名がないと面倒くさいので、彼のことは、仮に“ハニッシュ”としておきましょう(「CI☆5」ファンの方なら、この名前はご存知ですよね)。
ハニッシュ氏の「CI☆5」DVD化への熱意がホンモノだと理解した私は、スティングレイに彼を引き合わせました。実は、スティングレイでも「特捜班CI☆5」の作品としてのクオリティの高さは承知していたものの、どの程度のニーズがあるかは計りかねているところでした。ハニッシュ氏も交えて、収支予測から商品仕様まで、ありとあらゆる角度からプロジェクトを検討しました。1日で結論の出ることでもありませんので、その後は、電話やメール等で意見交換をえんえんと繰り返すことに。
何ヶ月か経って、徐々にですがプロジェクトの実現の可能性が見えはじめてきました。そこで、いつプロジェクトがGOになってもいいように、「CI☆5」のビデオ化権を、とある会社に依頼して探してもらうことにしました。「CI☆5」を制作したプロダクションは倒産に近い形で解体したため、現在では、日本に対するビデオ化権を持っている会社が皆目分りません。
しかし、蛇の道はヘビ! 依頼していた版権会社が、非常に特殊なルートでとうとう権利元を見つけ出しました。
ところが好事魔多し! 予想外の展開に全員震撼しつつ、次回へと続く!
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