本コーナーは、実際のDVD制作をレポートしつつ、商品をより詳しく知っていただくことで、新たな楽しみ方を提案するための企画ページです(※内容については、以前スティングレイのallcinemaSELECTIONで連載されていた「DVD制作日記」を増補・改訂したものです)
さて、映画にさまざまなバージョンが存在することは、どなたもご存知かと思います。有名なのは「グラン・ブルー」「エイリアン2」「ゾンビ」などでしょう。これらは劇場での上映スケジュールに合わせるために映画会社の意向でカットされた場合が多いのですが、ビデオ・DVDの発売の際にオリジナル版が収録されるケースも増えてきました。特に日本人は昔から「完全版好き」で、1分1秒でも長いバージョンを見たがる傾向がありますね。もちろん、これは良いことです。
さて、今回の「ユナイト・マカロニ究極選」でバージョン違いでひっかかった作品が「夕陽のギャングたち」でした。
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この映画には、121分版、138分版、153分版、156分版と、実に4つのバージョンが存在しています。121分版はいわゆる国際版というやつで、いろんな国で劇場公開された短縮版。138分版はアメリカでVHSとLDで発売された英語バージョン。153分版には英語とイタリア語バージョンがあって、英語版は昨年夏にBSで放映されたのと同じもの、イタリア語版はかつてワーナーホームビデオからVHSが発売されていたものです(このビデオはPALマスターをNTSCに変換したため、実際のランニング・タイムが短縮されて147分になっています)。
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今回権利元より我々に届いたマスターは153分の英語版でした。しかし我々は、2000年にロンドンのナショナル・フィルム・シアターでイタリア語の完全版が特別上映されたという情報を、とある海外のサイトで得ていました。そのフィルムでは、ジェームズ・コバーン演じるマロリーの幸福な日々のフラッシュバックが約4分に渡り、ラストに挿入されているというのです。しかも可能な限りネガのキズを修復し、音声をドルビー・ステレオにリミックスしたバージョンらしい! 早速、完全版の記事が載っているサイトのアドレスを権利元に伝え(英語サイトだったので翻訳の必要がないのがラッキーでした)、「このバージョンのマスターが欲しい」と依頼しました。
ところが権利元からは無情な返事が…。「イタリア語完全版の素材は我々(=権利元)のところには存在しないので、供給した153分版での商品発売をしなさい」
なんだと! そんな理由は合点がゆきません。さらに粘り強く交渉を進めますが、結局はらちがあきません…。
完全版好きの日本人をなめるな〜!!
「我々で完全版のマスターを独自に入手するなら構わないか」
「それならOK!」
というわけで、完全版探しの苦闘がはじまりました。
ところがこれが恐るべきワナ、魔窟の入り口のだったのです…。
以下、次回!! |
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